手書き図面とトレース:CADの進化がもたらすもの
私がはじめてCADを使ってからすでに30年が経ちました。
その時はクボタの2次元CADを使っていました。 今ではAutocadやJwwCadをよく使うようになりました。
その頃から変わりなくCADは、設計プロセスにおいて重要な役割を果たしていますし、現在では欠かすことの出来ない設計ツールになっています。
もともとCADの進化は手書き図面と、図面トレースの概念から始まっています。
本記事では、手書き図面と図面トレースがCADの発展にどのような役割を果たしたのかについて考えます。
手書き図面の重要性とは
手書き図面はデジタル技術が普及する前の設計プロセスにおいて基本的な手法でした。
設計者は鉛筆や定規を駆使して紙の上に直接図面を描いていました。
手書き図面には以下のような利点があります:
1、思考を可視化
手書き図面はアイデアを形にするための優れた手段であり、設計者の思考過程を可視化します。
2、スピードと柔軟性
手書き図面は素早く作成でき、修正や変更が容易です。 しかし、尺度変更や、詳細図、断面図などは設計者のセンスが出る為、見やすさや作図時間は作図者により大きく変わります。
また、大規模な図面には不向きで、比較的簡単な図面でこその利点となります。
3、コミュニケーション
手書き図面は他の人とのコミュニケーションに役立ちます。
設計者はアイデアを伝え、フィードバックを受けることで言い間違いや、勘違いを防止することが出来ます。
トレースの登場
CADの登場までは手書き図面が重要な役割を果たしていたにもかかわらず、デジタル技術の進化によってCADが一気に設計分野に台頭してきました。
この段階で、手書き図面のデジタル化が求められるようになりました。
CADトレースとは、手書き図面をスキャンし、CADソフトウェアで線や形状を再現するプロセスの事を言います。
トレースによるデジタル化には以下のような利点があります:
1、正確性と精度
手書き図面をトレースすることで、図面の正確性と精度が格段に向上します。
デジタル環境では、線や寸法を厳密に再現することが可能となります。
2、容易な編集と共有
デジタル化されたトレース図面は編集や共有が容易です。
設計変更やフィードバックの追加を迅速に行うことが出来、手書き図面では難しかった大規模な図面でもスピード感をもって設計が可能となりました。
3、バックアップと保管性
デジタル図面はバックアップや保管も容易です。 紙の図面と比較して、データの損失や損傷のリスクが低減されます。 しかし、データを消す時も間違えて消した際には消したファイルの復元が難しい為バックアップを取るなどデータの取り扱いには注意する必要があります。
紙図面からCAD設計への移行とその利点とは
CADトレースによるデジタル化がCAD設計の普及を促すことになりました。
又、CADは設計プロセスを革新し、多くの利点をもたらすことになりました。
1、3Dモデリング
2次元CAD設計の進化と共に2次元設計からさらに進んだ3D設計&モデリングが可能となりました。 パソコンの性能やネットワーク環境の向上も3D設計の普及を後押しすることになりました。
設計者はパソコン内で製品や建築物をリアルに視覚化することになり、打合せを行う際にはリアルタイム変更や改善を行うことができるようになりました。
2、シミュレーションと分析
CADはシミュレーションや分析機能を提供し、設計の品質やパフォーマンスを事前に評価することができます。 これにより、設計上の問題を早期に発見し、修正することができるようになりました。
また接触確認や作業スペースの確認など、全体的な流れの可視化にも役に立っています。
3、自動化と効率化
CADの普及により設計プロセスの自動化と効率化が飛躍的に向上してきました。
パラメトリックモデリングやデータベース連携などの作図以外の付加機能の向上に伴い、繰り返し作業の削減や生産性の向上も同様に実現される事になりました。
結 論
手書き図面とトレースはCADの進化において重要な要素です。
手書き図面は思考の可視化や柔軟性、コミュニケーションに貢献しました。
一方、トレースは手書き図面のデジタル化を可能にし、正確性と編集の容易さをもたらしました。
これらの要素がCADの普及につながり、3Dモデリング、シミュレーション、効率化などの利点を提供しています。 CADは今後も進化を続け、設計プロセスの効率化と革新に貢献していく事が予想されます。