手書き図面の良くある悩み Top10
今回は、手書き図面のよくある悩みを10個上げています。もちろん細かくはもっとありますが、設計の際に大きい流れで出てくる「良くある手書きの悩みTop10」をご紹介します。 これらの悩みを理解した上で、手書きとCADでの違いを理解し、設計・作図・トレースしていきましょう。 もしくは、これら10個に該当するものが多いほど、早々にCADを使った設計・作図に取り組んでみませんか?
1、描画時間がかかる
2、誤りとミスのチェックが難しい
3、共有と協力に手間が掛かる
4、環境への影響が大きい
5、バージョン管理が煩雑
6、ドローイングの一貫性を保てない
7、図面のバックアップとセキュリティに難がある
8、印刷と配布の手間が掛かる
9、レビューと承認プロセスに時間が掛かる
10、教育とトレーニングに時間が掛かる
・悩み1 描画時間がかかる
約30年前には、下記のドラフターという機器で図面を描いていたものです。ちょうどCADがドラフターにほぼ置き換わってきた時期でもあります。しかし、パソコンが苦手な方は手書きで設計されている方も少なからずいました。
細部の描画に時間がかかる
手書き設計では、物理的な制約から、用紙のどこから図面を描き始めるか? ここから考えて描き始めないと、後でつじつまが合わなくなり、最悪図面の簡略化や寸法のごまかしをしてしまうことに繋がります。
それほど手書き図面作成には多くの時間がかかり、詳細や寸法を正確に描くためには入念な作業が必要です。
また、修正や変更にはとにかく手間が掛かり、プロジェクトの進捗を遅らせる原因となっていました。
手作業での線引きやシンボルの描画が繰り返し必要な為、CADのように効率的に編集ができません。
そのため、設計者は手書き作業に大部分の時間を費やしていました。
それに引き換え、CADの利用は、どこからでも描き始める事が出来、場所ごとの詳細図を書くことも容易なため、全体図では細部の描画を簡素化したり、製図時間を節約できます。また、市販品ではCADに組み込まれたライブラリから部品やシンボルを簡単に挿入でき、作図のスピードアップや、修正に大きく貢献し、作図ではなく、設計・検討に時間を掛ける事が出来るようになりました。
大規模プロジェクトのために多くの図面を作成する必要がある
手書き図面では、大規模になるほど、複数の人との協業が必須となり、協力作業も膨大となります。それに引き換えCADを使うと、テンプレートと自動化ツールの採用などにより、大規模プロジェクトでの図面作成を効率化することが可能となりました。
・悩み2 誤りとミスのチェックが難しい
手書き図面ならではのミスの要因として、寸法の上書きや、寸法の四捨五入、帳尻合わせがあります。 図面修正にはあまりに時間がかかることから、図面の修正を行う代わりに、寸法の上書き修正、形状の簡略化が一番よくあることです。 この寸法上書きは後々のトラブルの元になります。
誤った寸法や仕様を記入するリスク
手書き図面は正確に寸法と位置を表すことが難しく、正確性に難があることを理解しておかないといけません。 誤った寸法や位置情報がプロジェクトの品質に悪影響を及ぼすこともあります。
それに引き換えCAD設計では高い精度が提供され、組み込まれた検証ツールなどの活用で誤りを事前に確認することが出来るようになりました。
手書き図面の読解ミス
手書き図面では設計変更や修正が非常に面倒で手間も掛かり、設計者は修正・変更のたびに図面を描き直す必要が出てくるので、時間と労力ばかり掛かっていました。
・悩み3 共有と協力に手間が掛かる
手書き図面は紙媒体であるため、共有や配布にも手間が掛かります。
図面を共有するためには複製やスキャンが必要となり、情報を迅速に伝えるには不向きと言えます。
図面の共有が困難
また、手書き図面は作業の手間から大まかに描く事も多く、設計者本人以外の他の関係者には説明が難しく、誤解やコミュニケーションミスが起きていました。 さらに改訂バージョン管理が難しく、複数のバージョンの図面を管理することは特に難しくなりやすいです。
チーム内でのコミュニケーションが効率的でない
紙図面しかない状態は、情報の共有には何かと時間が掛かっていました。さらに手書き図面はリアルタイムでの情報共有が非常に難しく、設計変更などの迅速な共有は得意ではありません。
これらの問題はCADを使用することで多くの問題が軽減できますし正確性と効率性を向上しコラボレーションツールを利用することでコミュニケーションを改善し、プロジェクトの円滑が可能となりました。
複数の関係者やチームメンバーとの協力に大きな制約ができます。
やはり手書き図面の修正やコメントを共有し、追跡することが難しい為、コミュニケーションに課題が残ってしまいます。図面のバージョン管理が複雑になり勝ちで、異なるバージョン間での誤解や情報の不整合が起きやすいです。
・悩み4 環境への影響が大きい
大量の紙の使用
手書き図面の作成には大量の紙とインクが必要になります。
これは多くの資源が消費され、森林伐採と廃棄物増加に影響します。図面を印刷し複製する度に、不要な紙が発生し、廃棄物の増加になります。これらの廃棄物の適切な処理は環境に大きな負担をかけます。
最近のCAD図面とペーパーレスオフィスの浸透は、環境に与える負担を軽減する取り組みにもなります。
材料の浪費
CADによる効率的な設計は、紙資源の浪費を抑え、持続可能なプロジェクトに寄与します。手書き図面は物理的な保管とバックアップに大きな場所を必要とし、災害時にデータの欠落や損失が生じる可能性があります。
・悩み5 バージョン管理が煩雑
図面のバージョン管理が複雑
手書き図面ではバージョンごとの変更の追跡が難しく、それゆえ異なるバージョンの図面が混在しがちです。プロジェクトが大きくなるにつれ、複数の関係者が手書き図面を扱うようになり、バージョン管理の課題により、設計変更やコメントの追跡が難しくなっていきます。 現在ではコラボレーションが困難になります。 CADのデータベース管理機能をうまく活用し、バージョン管理を簡素化できるようにました。
過去のバージョンへのアクセスが難しい
複数のバージョンの図面の存在は、誤って古いバージョンの図面を使用する可能性が残ってしまい、それにより誤った情報を元にプロジェクトが進むリスクが潜んでいます。
CADやデジタル設計ツールの使用により、図面のバージョン管理が容易となり、変更の追跡、過去バージョンへのアクセスが容易になります。
さらに、共有も効率的に行えることで、プロジェクトの効率と品質が向上します。
・悩み6 ドローイングの一貫性を保てない
複数の図面で一貫性を保つのが難しい
手書き図面では、異なる設計者や作成者が異なる筆圧や筆記具を使用するため、文字の大きさや形状は均一ではなく、サイズ、スタイル、配置など完成図面はどうしても一貫性を保つことは出来ません。
CAD設計ツールを使用することで、均一な外観の図面を作成できます。
ラインや文字の一貫性を確保することデ、図面全体の質を向上させ、プロジェクトの品質も高めることになります
・悩み7 図面のバックアップとセキュリティに難がある
手書き図面は紙媒体で作成、保存されるため、紛失、火災、水害などのリスクに常に晒されることになり、将来的に設計データの欠落や損失が懸念されます。
図面の紛失や破損のリスク
又、手書き図面は所定のファイルへの迅速なアクセスに手間が掛かり、ひいては機密情報や知的財産の漏洩リスクや、紛失リスクが存在します。ですのでまずは図面をpdfにするなどのバックアップ戦略を確立し、図面の安全な保管を保証するように対策を立てましょう。
機密情報のセキュリティ
何より複数のバージョンの手書き図面を管理するのは複雑で、作図の際には特定のバージョンを特定することが難しいですが、デジタル化することでバージョン管理が容易になり、データの喪失リスクが軽減し、データのセキュリティを向上させることができます。
・悩み8 印刷と配布の手間が掛かる
手書き図面を印刷するには紙、インク、プリンターなどのコストがかかります。
図面を印刷し、物理的に配布する手間
手書き図面の複製や配布には手間がかかり、特に多くの関係者やチームメンバーと共有する場合はその資料の準備にも労力が掛かります。デジタルデータでのファイル共有を促進し、物理的な配布を最小限に抑えることはスムーズな共有が可能になります。
遠隔地のチームとの協力が難しい
手書き図面は物理的な制約を受ける為、遠隔地の関係者にファイル共有するのに手間が掛かり、コラボレーションに制限が生じます。 デジタル設計ツールを使用することで、印刷と配布の手間やコストを削減し、ビデオ会議やクラウド共有を通じて遠隔地の協力を容易にし、データも簡単に共有できるため、環境への負担を軽減できます。
・悩み9 レビューと承認プロセスに時間が掛かる
手書き図面は共同作業や製品レビューに様々な制限を生じます。
関係者やクライアントとの連携が難しく、設計変更や承認の際には時間もかかり、誤解が生じてしまいます。
レビューと承認の遅延
手書き図面は印刷や配布、フィードバックを収集するプロセスはとても遅く、プロジェクトの進行に悪影響をもたらす可能性があります。デジタル共有と電子署名ツールを活用してプロセスを効率化でき、プロジェクトの進行を迅速に進める事が出来ます
・悩み10 教育とトレーニングに時間が掛かる
手書き図面は技術と経験を要し、新しい設計者や学生にとって学習と習得に時間が掛かります。
チームメンバーへのCADソフトウェアの教育が必要
今では建築業界ではCADお筆頭にデジタルツールの普及がさらに進んできており、CADトレーニングプログラムを導入する会社も増えてきています。
導入により、設計者や学生がデジタル技術を効率的に学び、訓練する機会が増え、よりアクセス可能になります。