3次元CADと現物の違いに気を付ける。CADと現場の頭を使い分ける事。
皆さんは3次元CADを使ったことはありますか?
3次元CADはとても便利なツールですが、そのツールを使う際のよくある注意点をお伝えします。
ことわざ的に表すと
CADは数秒、現場は一日
CAD設計している方、それに関わっている方は少し立ち止まって考えてほしいです。
さて、この二つの画像を見てほしいです。
CAD設計している、ある設備の比較です。
どのように感じますか?
当たり前ですが、3次元CADは現物サイズ、1:1、尺度1で設計します。
これは何を表すかと言うと、1mmと、1000mmの違いがあったとしても、同じパソコン画面内に表示することが出来ます。
さらに、もし同じ形とすると、現物では1000倍の大きさの違いがあっても、CAD画面で見る限りその違いは分からないのです。
いわゆる重量感を感じないのがCAD図面なんですね。
仮にこれが単純なボルトで比較してみると
という事は、M3のボルトであろうと、M30のボルトであろうが、見た目に違いはありません。
ここで改めて図面をみて下さい。
CAD図面内の左上に縦に2個並んでいる大きなボルトはM8の六角ボルトです。
図面を見ると感じると思いますが、3次元CAD図では見た目、部品の判別しやすさ、ユニット毎の色分け など、「見やすさ」を重視して描いています。
これと比較して右画像の実機ではどうでしょうか?
指定色の部品、元の色の部品、購入品の色で構成されています。
基本的に同系色の塊かつ、金属の地肌がもつ独特の艶で重厚感を感じると思います。
もし3次元CADで穴をあけるとすると、サイズに関わらず、穴開けコマンドを数クリックするだけで「数~十数秒」で穴を開けることが出来ます。
それと比較して現物をみて下さい。
この頑丈な金属の塊に穴の加工を施すとなると場所に寄りますが一日がかりです。
もしくは、場所によっては開けれないときも出てきます。
3次元CADでは、追加工や、部品の移動、削除などはいとも簡単にできます。
これが現物となるとどうでしょうか?
手で持てる物ならまだしも、大きな物、重たいものでは、クレーンを使う時も出てきます。
1人で出来ないときも出てきます。
このように重量感、現物観がない3次元CAD設計などでは、詳細は「現合で穴あけ指示」を現場にしてしまいがちです。
これが非常に厄介なのが上記の理由から分かって頂けると思います。
2次元CADではありがちなこのような図面指示も、3次元CADだからこそ、しっかり時間を取って穴の位置ずれもしっかり確認して設計しましょう。
確認箇所が多いのでめんどくさい、時間かかると思っていても、上記理由でもし修正箇所が数か所、十か所となればどうでしょうか?
たかが穴開けに丸一日かかるのです。
たかがボルト穴、されどボルト穴なんです。
設計者は常に現場での作業を頭にいれて設計をお願いしたいところです。
それが良い設計となり、後修正の少なさが、良い設計者という事になるのです。